雑賀雑記

ネタバレ小説レビューと二次創作のブログのつもりだったが最初からごった煮

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平成30年度 AMED再生医療公開シンポジウムに行ってきました。

2月5日13時から

「なるほど the 再生医療 平成30年度 AMED再生医療公開シンポジウム ”研究者からみなさんへ、今伝えたいこと”」

というAMED(日本医療研究開発機構)のシンポジウムがありまして、興味本位で行ってきました。リンク先は公式ウェブサイトです。

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今まで知らなかったんですがAMEDさんはYouTubeのチャンネルも持っていまして、そのチャンネルで今回のシンポジウムも配信される予定だそうです。

配信されていました!5時間くらいの動画です。

予定とか書いて記事出す前に配信とか…記事にするのにずいぶん時間がかかったなあ…。

www.youtube.com

さて、一応行ってきて話を聞いてきたのでこの記事に備忘録としてまとめておこうかなと思います。

メモ取り切れなかったしぼんやりしてた時もあったしで

また動画見たり送っていただく記録集を見たりして新しく記事を書きなおすかもしれませんが。

 

 

主催者挨拶

末松誠さん(日本医療研究開発機構 理事長)が主催者挨拶をされていました。AMEDは設立してから4年目であり、今回が4回目の公開シンポジウムらしいです。

再生医療は連携の一つ」ってメモにあるんですけど、何の連携の一つっておっしゃってたのでしょうか。謎に包まれたままです。(ちゃんと分かるようにメモしろ)

 

事業説明

齋藤英彦さん(再生医療実現プロジェクト プログラムディレクター/国立病院機構 名古屋医療センター 名誉院長)が簡単に事業説明をされました。

再生医療の話をするにはまず幹細胞について話さなければならないので、体性幹細胞とES細胞、iPS細胞の話をされていました。これらは全て幹細胞(stem cell)でして、幹細胞はその分化能(いろいろな種類の細胞に変われる能力)と増殖能から再生医療の材料として注目されているのです。

ちなみに、ES細胞は胚性幹細胞のことで英語では"embryonic stem cell"、iPS細胞は人工多能性幹細胞のことで英語では"induced pluripotent stem cell"です。どちらともちゃんと名前にも幹細胞って入ってるんですよ。

さて、再生医療というのは国からすると文部科学省厚生労働省経済産業省、つまり3つの省が関係しているらしいんです。詳しい説明は省きますが、同じ再生医療なのに3つに分かれているとまとめて考えなければならない時に誰がまとめて考えるの?ってなるわけです。そのためにあるのがAMEDのようです。

 

講演1 「はたらく幹細胞 〜細胞が医療に使われるまで〜」

阿久津英憲さん(国立成育医療研究センター 再生医療センター生殖医療研究部 部長)がこの講演をしてくださいました。

某アニメではないとおっしゃっていたけどやっぱり思い出してしまう…

さて、増殖能と分化能を携えた幹細胞というのは何もES細胞とiPS細胞だけでなく、我々の体にもきちんとあります。それが体性幹細胞。この体性幹細胞は組織によってそれぞれ異なっていて、皮膚幹細胞なら皮膚関連の様々な細胞に分化したり神経幹細胞なら神経関連の様々な細胞に分化したりします。

組織によって異なることから組織性幹細胞とも呼ばれ、その組織性幹細胞の概念や背景などを細かく説明してくださっていました。

幹細胞とひとくちにいっても何にでもなれるES細胞とiPS細胞、いろいろなれるけど方向性は決まってる体性幹細胞。これらを幹細胞番付と言って相撲にたとえて説明していました。幹細胞番付の横綱はiPS細胞・ES細胞大関が体性幹細胞だそうです。

増殖能と分化能、ちょっとわかりづらいかもしれませんが阿久津さんは細胞を忍者にたとえて説明していました。増殖能は忍者で言えば分身の術。細胞シートを作ることに役に立ちます。分化能は変わり身の術。これのおかげで様々な細胞を作り出すことができます。

幹細胞は再生医療の役に立ちますが、再生医療再生医療等安全確保法と薬事法的な法律(名前忘れましたごめんなさい)の2種類の法律に縛られています。

そんな中でも商品化は進んでいたりして、自家培養表皮のジェイスや自家培養軟骨のジャック、自己骨格筋由来細胞シートのHeartSheetなど様々な細胞シートの商品が出来上がっています。自分が使う機会は欲しくないですけど、こういうことがどんどん進めばと思います。

ただこの細胞シート、素晴らしいのですが難点があります。細胞シートは1種類の細胞を培養して作られたシートです。かつ平面にしかなりません。

当然、私たちの体はたった1種類の細胞で臓器を作るわけではなく幾つかの細胞から立体的な臓器を作っています。その立体的な臓器の助けになるには細胞シートではまだ足りないというわけです。そこで数種類の細胞から全体を作り出すような3D培養システムのオルガノイドの出番が来ているそうです。オルガノイドイマイチよーわからん。

 

講演2 「iPS細胞を使った再生医療パーキンソン病に挑む〜」

高橋淳さん(京都大学 iPS細胞研究所 教授)がお話くださいました。iPS細胞の研究でパーキンソン病を治そうとしている高橋淳さんですが、2018年に治験開始の記者会見を開いたりしてニュースになっていたので知っている方も多いのではないでしょうか。

さて。まずはパーキンソン病ですが、パーキンソン病は中脳黒質ドパミン神経細胞が脱落していくと発症してしまう病気です。レビー小体が云々とかαシヌクレインが云々とかいう話がありますが、その話は特にそこまでされていなかったので今は置いておきます。

大事なのはドパミン神経細胞がなくなってしまうのだということ。このなくなってしまったドパミン神経細胞をiPS細胞で作ってやろうというのがこの研究だそうです。今現在、パーキンソン病っていうと対症療法になってしまっていて原因を治すことはできていなかったはず。ものすごいことです。

実験動物というとよく使われるのはマウスですが、いくらマウスが哺乳類とはいえ、人間とはだいぶ違います。そこでカニクイザルモデルで安全性・有効性を示した上で2018年10月から治験に踏み切ったそうです。患者様の経過観察をしていかなければならないため2022年ごろに観察を終えて承認申請しようとしているみたい。

この治療法はパーキンソン病がある程度進行した方(5段階中3,4段階目の方)をメインに治験を行っていくようです。左右の被殻に240万個ずつドパミン神経細胞前駆細胞を移植するらしいですよ。すげー。

ただ、iPS細胞といえど自分のを使うとお金がかかりすぎちゃうので現段階では自分のは使えません。そのため免疫抑制をしながらの治療になるそうです。患者様には感染症に気をつけて欲しい限りですね。

胎児細胞移植?で要介護の患者さんが自立して動けるようになるのが目標だそう。いきなり胎児細胞移植に飛んでしまいましたがメモ不足ですごめんなさい。iPS細胞は胎仔由来なのかな。

さらなる目標としては良くする治療から悪くさせない治療に持っていくことだそうです。パーキンソン病ドパミン神経細胞がちょっと減ってしまったところで発症しません。30〜40%のところまで減って初めて発症するらしいです。だから発症段階の前までに移植できればパーキンソン病にもならないということ。移植で予防できるんです。すげえや。

最後に「一緒に未来をつくりましょう」とおっしゃっていました。いろいろな人が研究を少しでも理解してこの研究が早く進むようにできるといいですね。

 

講演3 「角膜の再生医療 〜iPS細胞を用いて視力を回復させる〜」

西田幸二さん(大阪大学 大学院医学系研究科 教授)がご講演くださいました。iPS細胞がヒトでも作られてから一番早く臨床研究にはいったのが眼です。2014年の9月12日に臨床研究に入りました。この日、西田さんの誕生日だったそうです(笑)

人間には五感がありますが、多くを視覚情報から判断しています。その割合は87%だそうです。それだけ眼の機能は私たちの生活に影響を及ぼしているということです。

あとこれは初めて知ったんですけど、視力が悪いと認知症のリスクが上がっているそうです。白内障の手術後に認知力が上がったという事例もあります。難聴も関係あるそうなので、外から得る情報が如何に認知力に関与しているかがわかります。

それほど重要な眼ですが、眼にも病気があります。薬では治らない病気のうちの一つが角膜上皮幹細胞疲弊症です。角膜上皮は通常2週間で入れ替わるくらい幹細胞がよく働いている部分らしいです。治すには今までは角膜移植くらいしかなかったようなのですが、角膜のドナー不足や拒絶反応からなかなかできずにいたそうです。

natureに発表した論文だそうですが、角膜上皮幹細胞疲弊症の重症例に対する臨床研究を行っていて、SEAM法と呼ばれる方法でヒトiPS細胞から角膜への分化誘導をさせました。ヒトの角膜上皮の細胞とiPS細胞で作った角膜上皮の細胞は構造、発現タンパク質ともに同じであるためほぼ同等なものであると言えるそうです。

実際にウサギで試してみたそうで、ウサギの視力は測ることはできないものの角膜が透明になったことで有用性は実証されたみたい。

眼の病気って年をとったらなる人多いけど、かなり希望が見えてきたんじゃないでしょうか。

 

講演4 「歯を支える骨と歯ぐきを取り戻す再生医療

村上伸也さん(大阪大学 大学院歯学研究科 教授)にお話しいただきました。テレビCMでもよくみる歯周病の話です。テレビCMになるくらい多くの人が歯周病を経験していると思われます。

この歯周病の正体は、歯ではなく歯肉、歯槽骨、歯根膜、セメント質といった歯を支える歯周組織が炎症を起こしている歯周炎。歯周炎というのは歯肉炎が悪化して歯槽骨を吸収し始めたら言うらしく、どんどん重症になると歯を支えるものがなくなって歯が抜けてしまいます。

恐ろしい病気なのでみなさん歯磨きをおろそかにしないようにしましょうね。私も今からまた歯磨きしようかな。

さてその歯周炎の治療ですが、みなさんおなじみの歯周ポケット(歯ぐきと歯の間)に溜まったデンタルプラークを取り除くという対症療法が今の現状です。デンタルプラークを除去することをプラークコントロールと呼ぶそうで、これが完了したら歯周炎完治とされているそうです。

しかしこれ、確かに歯茎は引き締まって歯周炎の進行を止めることができるのですが、歯茎や支えになっている骨を歯周炎以前の状態に元通りにすることはできないらしいのです。理由は歯根膜幹細胞という幹細胞の分化能が低下して新しく骨を作ることができないから。そのせいで歯茎は下がったままで、かなり悪化してからの完治では治ったようには見えません。写真見たんですけど、歯茎は引き締まってるもののスッカスカといった感じ。

そこで大阪大学の近未来歯科医療センターと協力してその歯根膜幹細胞を増やしてやる治療を始めようとしています。実際に試してみた患者さんもいらして、NHKで特集されたそう。

その治療ではまず腹部皮下脂肪から脂肪細胞をとってきて、その脂肪細胞を元に幹細胞ゲルを作り出します。作られた幹細胞ゲルを治療時に歯と歯茎の間に入れることで実際に骨が再生されたそう。

歯周病は恐ろしい病気だしならないに越したことはありませんが、この治療法があれば本当に完治することができるんですね。今すでに「完治」とされた方々も再生技術を受けられるようになればなと思います。

 

講演5 「へその緒(臍帯)からの細胞治療」

長村登紀子さん(東京大学 医科学研究所 准教授)のご講演でした。臍帯というのは簡単に言えばへその緒なんですが、へその緒と言っても母体側にあるものを指すためにきちんとあかちゃんについているへその緒は残せるらしいです。

この臍帯を使って臍帯由来の間葉系幹細胞を作ろうとしているお話でした。臍帯の何がいいのかというと
赤ちゃんが生まれてきていれば臍帯は胎児期付属物なので国産で入手が可能であること、MSC(間葉系幹細胞)含量が100%であること、また混じりけがなく100%胎児由来であることが挙げられます。

そうそう、MSC(間葉系幹細胞)の含量が100%であることはすごいことみたいです。臍帯血だとMSC(間葉系幹細胞)の含量は5〜10%以下だそうでかなり落ちてしまっています。あと胎児由来100%って他もそうなんじゃね?って思ってしまいますけど、ほぼ胎児っていうのはあっても100%ってのはそうそうないらしい。胎盤は胎児由来と母親由来混ざってるらしいしね。

臍帯がいいことはわかったけどさっきから出てくるMSC(間葉系幹細胞)って何よ?ってなっている方もいるかもしれないのでちょっと書いておきます。MSC(間葉系幹細胞)は中胚葉由来の幹細胞で成体にもあります。だからまあ、自分たちからも取れます。骨髄とか脂肪とかからとってこれます。

MSC(間葉系幹細胞)は骨とか軟骨、脂肪、神経に分化できる幹細胞なのですっごく使えるみたいです。あとはES細胞によく似ていてきちんと増殖能もあります。

すごいなと思ったんですけど、このMSC(間葉系幹細胞)、HLAに縛られず使えるらしいです。HLAっていうのはある型のことで、これが一致してないと移植やらなんやらの時に拒絶反応が出てしまいます。つまりMSC(間葉系幹細胞)だと拒絶反応が出ないってことになります。スゲエ。

この凄いMSC(間葉系幹細胞)を採取して凍結、培養して最終的には凍結製品にして再生医療に役立てようとしています。何かの命を奪うわけでもないので倫理問題も少ないですし、培養して国内安定供給も目指せるようです。

どんな医療現場に生かすかというと、その例として重症急性移植片対宿主病(GVHD)という病気への造血幹細胞移植を挙げられていました。また低酸素ストレスなどから発症する新生児脳症への応用も考えられています。新生児脳症に関しては新生児であるため新鮮な臍帯が手に入ります。その場合自家移植か他家移植かどうなるんでしょうね。

 

講演6 「試験管内で腎臓をつくる」

西中村隆一さん(熊本大学 発生医学研究所 所長/教授)がお話してくださいました。この世には慢性腎臓病というものがあります。腎臓障害が3ヶ月ほど続くと慢性腎臓病というように診断されるそうですが、慢性腎臓病となると人工透析するか腎臓移植をするかということになります。

人工透析はその場しのぎに過ぎないので、完全に治すとなると腎臓移植が必要になってきます。しかし移植ともなるとドナーが必要かつドナーがいても拒絶反応が出たり…といった問題が出てきます。iPS細胞から腎臓を作ることができればそんな問題も解決出来る!というわけです。

さて、腎臓はみなさんご存知の通りソラマメのような形をしていて三次元構造をとっています。三次元構造とはいえ、腎臓はあの臓器一個ずつぽーんとあるわけではなく、ネフロンという小さな腎臓の基本単位が約100万個ずつ集まってできています。

この腎臓の基本単位であるネフロンは糸球体と尿細管からできています。この研究ではネフロンを試験管内で作ろうとしているみたいです。

1990年代当初は周りからバカにされたそうですが、1993年にカエルの原始的腎臓を浅島誠さんが作れたことや腎臓をつくるのに必要な必須遺伝子があることがわかったことから研究がスタートしたようです。

まずはこの必須遺伝子を使ってマウスのES細胞から腎臓前駆細胞をつくり、その前駆細胞から糸球体と尿細管を作る研究をしたそうです。ただ当時腎臓前駆細胞とされていた細胞は実は間違っていたらしく、本当の前駆細胞を見つけるのにも苦労されたようです。

またその本当の前駆細胞が蛍光物質で光るGFPマウスも当時はどこにもいなかったようですが、近くの研究室がお持ちで研究に使うことができたそうで、人脈って大事だなあと。

さて、そこから無事糸球体・尿細管を作ることができて論文を送ったようですがヒトでもやってくれといわれヒトiPSの使用に乗り出したそう。そこで糸球体・尿細管のもととなる前駆細胞をヒトiPSからつくりました。また尿管芽というものも作れるようになって2017年ごろ論文を出したみたいです。

糸球体と尿細管を作る前駆細胞、尿管芽ができたはいいんですが、実はまだ必要なものがあって間質前駆細胞というものが作れていないらしいです。

今現在、マウスの場合はマウスiPS細胞から糸球体・尿細管を作る前駆細胞と尿管芽を作り、マウス胎仔から間質前駆細胞を取ってきてマウスの腎臓は作ることが可能であるようです。

しかしヒトの場合、倫理的な問題があって胎児からヒトの腎臓の間質前駆細胞をとってくることはできません。この課題をどうクリアするかが今後の課題になっていきそうです。

 

特別講演 「iPS細胞研究アップデート」

山中伸弥さん(京都大学 iPS細胞研究所 所長/教授)がご講演くださいました。マウスのiPS細胞は2006年に、ヒトiPS細胞は2007年に作製できるようになりました。初めは皮膚細胞から作っていたiPS細胞ですが、皮膚細胞は採取させてもらいにくい部位です。そこで今では血液のリンパ球から作製しています。

血液のリンパ球を採取してきて容器に入れておくとリンパ球は浮いているようですが、iPS細胞ができると、iPS細胞はそこに張り付きます。10cm四方だか円だか忘れましたが、その中にはおよそ100万個ものiPS細胞があるそうです。これが増殖して様々な細胞に分化するというわけです。

iPS細胞を利用した治療方法は段々進んできていて、2014年には裏打ち細胞が壊れる加齢黄斑変性という眼の病気に利用されました。皮膚からiPS細胞を作製し、網膜細胞へと分化させたのです。

この加齢黄斑変性での利用では完全オーダーメイドのiPS細胞だったようですが、完全オーダーメイドだと「時間がかかりすぎること」と「お金がかかりすぎること」がとてつもなく大きな課題になります。山中先生は品質評価を担当していたそうですが、そこだけ切り取ってきても莫大な資金だったそう。

そこで完全オーダーメイドから一旦切り替えて「再生医療用iPS細胞ストック」というものを作ることにしています。免疫タイプ的に拒絶反応を起こしにくいと考えられる「スーパードナー」から作製したiPS細胞をストックするんです。

スーパードナーは数百人に1人程度の割合でいるらしく、日本赤十字社のデータから同定して許可が得られれば採血したり、臍帯血バンクから見つけて同意取得次第いただいたりしているそうです。臍帯血バンクからとってきて大丈夫なのか?と思っちゃいますけど、これは臍帯血を医療に使える期限を過ぎてからみたいです。その期限過ぎても、iPS細胞にしちゃえば関係ないことだからね。

今現在再生医療用iPS細胞ストックには3種類のスーパードナー由来のiPS細胞があり、これで日本人の約32%をカバーできるようになっているそうです。近いうちにもう1種類追加されて日本人の約37%をカバーできるようになるんだとか。

まあしかしiPS細胞は眼の病気やパーキンソン病、血小板・赤血球移植、免疫療法など幅広い治療に使えるものなんだから、100%カバーしてほしいですよね。ただ100%カバーするってすごく大変なことのようです。日本人の大半をカバーするためには約150種のスーパードナー由来iPS細胞が必要で、さらに世界の大半をカバーするためには1000種類以上のスーパードナー由来のiPS細胞が必要なんだそうです。

そこで次世代、2020年ごろにはゲノム編集を利用してiPS細胞をストックできるようにしようとしているらしいです。これなら、10種類以下のスーパードナー由来iPS細胞で世界の大半をカバーできるようになるそう。スーパードナーiPSを利用して今よりも効率良く作製しようというわけですね。

しかしいくらスーパードナー由来のものでも拒絶反応はあるわけです。少ないけど。そこで次次世代、2025年ごろには「マイiPS細胞」の実現をしたいそうです。目標としては患者さん自身のiPS細胞をオーダーメイドで作製するのにかかる費用100万円。次次世代が楽しみなばかりです。

 

iPS細胞は治療だけでなく難病の原因を調べるのにも利用されています。例えば、FOP(進行性骨化性繊維異形成症)といういたるところが骨になってしまう病気があります。日本では約80名の患者さん、世界では約700〜1000名の患者さんという非常に患者さんが少ない病気ですが大変に恐ろしい病気。この病気の原因を解明しようと2017年9月から治験が開始されたそうです。どうも今存在する別の薬が効くかも?なところまで来てるらしい。治せるようになるといいなあ。

 

パネルディスカッション 「再生医療について知りたいこと答えます」

モデレータはNHK報道局科学・文化部の副部長である松永道隆さんでした。パネリストは山中伸弥さん、高橋淳さん、武藤香織さん(東京大学 医科学研究所 教授)、畠賢一郎さん(株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 代表取締役 社長執行役員)、岩本愛吉さん(日本医療研究開発機構 戦略推進部 部長)でした。

パネルディスカッションはまとめるのが大変なので見逃してください。最後にパネリストの方々が「今伝えたいこと」として書いてきたものを自分への戒め含めて置いておきます。

岩本愛吉さん「一歩一歩着実に」

畠賢一郎さん「産学官+患 連携」(患者さんも連携できるように)

武藤香織さん「患者・市民参画 + 静穏環境」(患者さんも市民も参加できるように。研究を理解し必要以上に騒いでほしくない)

高橋淳さん「未来を信じる」

山中伸弥さん「V W」(Vision  Work hard)